「ビルシュタインが純正採用された初めての国産車はマツダのカペラなんですよね」なんていうウンチク話も楽しい……ドイツのビルシュタイン本社からパーツ供給を受けることができる、国内で数少ないビルシュタインチューナー「エナペタル」ならではの話題でもある。
マツダは他にロードスターやRXー7、トヨタなら印象的だったのは70スープラ。しかし、ビルシュタインとスバル・レガシィとの関わりは誰もが知るように、より深いものがある。なにしろ、2代目ツーリングワゴンで始まったGTーBのBはビルシュタインの頭文字を冠したもの。もちろんエナペタルも他車に比べ、より深い関わりを持っていると言えるだろう。
自在に減衰力設定を任意に変更できるエナペタル。簡単に言えば「お客さんのオーダーに合わせたビルシュタインショックアブゾーバーを作る」会社。レガシィ用も初代BGから社内ではセッティング担当者が変わっていないとのことで蓄積されているデータは並みの量ではない。
そこには純正装着ビルシュタイン、そして阿部商会が輸入しアフターで販売される標準ビルシュタイン、さらにエナペタル独自の味付けを施したオリジナルセッティングのベース仕様、そしてユーザーごとに仕様を変更した仕様の各データが存在する。
そんな選択肢が多彩なことから、エナペタルで自分の好みのショックをオーダーする場合、エナペタルでは、まずは標準のビルシュタインを取り付けて欲しい、と提案するそうだ。これは車種に限らずの提案で、ビルシュタインに変更することで剛性感や乗り心地、パフォーマンスを確認後、そのビルシュタインは仕様変更も可能というわけ。
混乱しそうなので現行レガシィを例に再度整理すれば、エナペタルでは、純正装着ビルシュタインの仕様変更、アフターで取り付けられたビルシュタインの仕様変更、そしてエナペタルで新規作製されたビルシュタイン、といった中身の異なるメニューを持っている、ということ。
ただし、現行レガシィの純正リヤショックは非分解式という、これまでのビルシュタインに無い特殊なもので、純正ショックそのものを使った仕様変更はできない。
というわけで、話をBPレガシィ中心に進めていこう。現行のA型、つまり初期ものの一般的評価は「ハード」。硬いと感じているユーザーが多かったはずだ。もっと硬い方がいい、と言うユーザーもいたりするが、賛否両論のフィーリングを持つサスペンションだった。エナペタルでも「スピードレンジが高いところで設定されている」と評価。そこで、エナペタル製のオリジナルは「40km/h付近の突き上げ感を無くしたマイルド仕様」としている。
具体的にはピストンスピードの0.4m/sまでのバンプ、リバンプ双方をよく動くように変更、ガス圧を圧をノーマルのF:28kg/cm2、R:34kg/cm2からそれぞれ24、25kg/cm2へと変更。これらは初期入力を軟らかくしていくのだが……こんな数値はあえて必要ないだろう。
たしかにエナペタルではショップ経由のみならず、ユーザー個人が減衰の数値を指定してのオーダーも受け付けるが、これはレアなケースで、通常はオーダーする段階でユーザーは現状のスペックなどを事細かに聞かれる。タイヤやホイールのインチ、銘柄からどんな場所を走るか、どのような走りで不満を覚え、解消したいか、どのような所がメインの走る場所かなど。たとえば「白線を踏むときでどのような動きをするか」ということまでたずねたりするそうだ。それでもイメージはなかなか伝わらないというときもある。それぞれ個々で感性が違うから、正解は簡単には出てこないのがサスペンションだ、という認識での販売を行っているのだ。
ショック、サスペンションは生かすも殺すもセッティング次第。純正採用もされるほど質感も高く、各部品の精度に対してばらつきが非常に少ない安定感抜群のビルシュタインという製品をチョイスし、仕様変更を考えるなら、いろいろと考えてみるといい。自分が普段どのように走って、さらにどんな走りの向上を望むかを。きっとエナペタルのビルシュタインは応えてくれる。
オーダーメイドの本質は、使う側のユーザーもその製品が何者であるか心得ていることも重要なのだ。 |